【映画感想】オリエント急行殺人事件〜アガサ・クリスティーの名作の美しい映像化

ミステリーアメリカ

オリエント急行殺人事件

★★★★★★★☆☆☆

アガサ・クリスティー原作のミステリー小説「オリエント急行殺人事件」を2017年に映画化した本作。(1974年にも映画化されていますが、そちらではありません)

名探偵エルキュール・ポアロが活躍するシリーズの一作です。
ポアロを演じたケネス・ブラナーが、本作の監督も努めました。

映像美が素晴らしい一作でした。

※記事ラストに一部ネタバレを含む感想があります。お気をつけください!

2017年の映画「オリエント急行殺人事件」

1934年にミステリーの女王、アガサ・クリスティーによって発表されたミステリー小説「オリエント急行殺人事件」は言わずと知れた名作。
エルキュール・ポアロシリーズとしては8作目にあたる作品です。

実際に起きた「リンドバーグ愛児誘拐事件」に着想を得て書かれた作品としても知られるオリエント急行殺人事件は、数多くドラマ化・映画化されていますが、実は私は今回が初めて。
クリスティーの作品は好きで何作か読んでいるためポアロのことは知っていますが、本作の内容やトリック・犯人は知らない状態で鑑賞しました。

世紀をまたいでなお愛されるミステリーの内容はもちろん、映画としても楽しめる作品でした。

映画情報

オリエント急行殺人事件(Murder on the Orient Express)
初公開:2017年11月10日
監督: ケネス・ブラナー
国:アメリカ
上映時間:114分
配給:20世紀フォックス

主要な登場人物

● エルキュール・ポワロ(ケネス・ブラナー)
世界一の名探偵。

●エドワード・ラチェット(ジョニー・デップ)
アメリカ人のギャングで富豪。

● ヘクター・マックイーン(ジョシュ・ギャッド)
ラチェットの秘書。

● エドワード・ヘンリー・マスターマン(デレク・ジャコビ)
ラチェットの執事。

● ピラール・エストラバドス(ペネロペ・クルス)
女性の宣教師。

● ゲアハルト・ハードマン(ウィレム・デフォー):
教授。

● ドクター・アーバスノット(レスリー・オドム・Jr)
黒人の医者。

● メアリ・デブナム(デイジー・リドリー)
家庭教師。

● キャロライン・ハバード夫人(ミシェル・ファイファー)
派手な未亡人。

● ドラゴミロフ公爵夫人(ジュディ・デンチ)
ロシア貴族。

● ヒルデガルデ・シュミット(オリヴィア・コールマン)
ドラゴミロフ公爵夫人のメイド。

● ルドルフ・アンドレニ伯爵(セルゲイ・ポルーニン)
粗暴な性格のハンガリー貴族。

● エレナ・アンドレニ伯爵夫人(ルーシー・ボイントン)
ルドルフの妻。

● ビニアミノ・マルケス(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)
自動車のセールスマン。

● ブーク(トム・ベイトマン)
国際寝台車会社の重役。ポアロをオリエント急行に乗せた。

● ピエール・ミシェル(マーワン・ケンザリ)
オリエント急行の車掌。

ストーリー

名探偵エルキューレ・ポアロは世界一の名探偵。

ひとつの事件を解決したあと休暇を楽しもうとしていた矢先、イギリスで事件が発生したという知らせを受けて、オリエント急行に乗車しイギリスへ向かうことに。

オリエント急行は豪華な寝台列車。
一期一会の乗客たちと優雅なひとときを数日間過ごすはずでした。

しかしそんななか、一人の乗客がポアロに護衛を頼みます。

「脅迫状が送られていて、自分は命を狙われている。ボディーガードをお願いしたい」と。

ポアロはその金が綺麗な金ではないことに気付いていたため、その依頼を断ります。

しかしその晩、その乗客は自室で殺害されてしまったのです。

容疑者は乗客全員。果たして誰が、犯人なのか……

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映画を観た感想

クリスティーの代表的な作品でしたが、私にとっては初めてのオリエント急行殺人事件。やはり名作と言われるだけあり、非常に面白かったです。
さすがミステリーの女王。小説も読みたいです。

結末だけを聞くとその意外性に「そんなのあり?」と思っちゃいそうですが、悲しい背景を知ると納得してしまうストーリー。
少しいたたまれない気持ちにも。

登場人物が多いため最初は少し混乱しそうになりましたが、それぞれ個性が強いので徐々に自然と慣れてきます。
そしてそれぞれの抱えるものが少しずつ見えてきて、物語は一気に加速。

映像がとても綺麗な作品です。
その綺麗さがとても、儚さを演出しているように思えました。

悲しくも美しい、そんな映画でした。

以下、ネタバレを含む感想です。

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ネタバレありの感想

本作、実在の事件「リンドバーグ愛児誘拐事件」から着想を得てクリスティーが書いたそうですが、ひとつの事件は多くの人に負の影響を及ぼすのだなと改めて感じました。

影響があるのは被害者だけではありません。
遺族、遺族の友人。そして冤罪で裁かれた人、その家族、友人……

それなのに加害者は豪華で悠々自適な暮らしを送っていると知ってしまったら。

事件によって人生が大きく変わってしまった人たちが、どうやってその闇から解放されるのか。

物語の序盤は「誰が犯人?」とワクワクしながら観ていましたが、途中からは単純なミステリーとしてではなく、その悲しいストーリーに大きく惹きつけられました。

実際に起きた事件も、刑が執行された方は冤罪の可能性があるそうですね。
検察側が用意した物証はあるけれど、犯人とされた人は当日仕事をしているという立派なアリバイまであったそうです。
既に100年近く前の事件で真相はもう闇の中ですが、史上最悪の冤罪事件と言われて新たに法が施行されたほど、影響力のある事件でした。

最後のポアロの選択はとても難しいものだったと思います。
犯罪=悪ならば、たとえどんな背景があったとしても、今回の犯人も悪人です。

世界には善と悪のどちらかしか存在しないといっていたポアロ。
その彼が下した判断は、果たして正義と言えるのか。

乗客たちは今後、どう生きるのか。

「その後の話」が知りたくなる作品でした。

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